それは飲料に於いても例外ではなく。常々、甘すぎる諸所の清涼飲料、
あるいはコーヒー、紅茶に誤って手を出しては、泣きそうになったものだ
(100%ジュースなどは除く)。
以前にも書いたが、「桃の天然水」が流行る以前にフラッと買って飲んだとき等は、
異様な甘さにシロップを原液で飲んでいる様な心地がして、とても完飲は不可だった。そしてその後にヒットしていく過程を見て驚く、ということもあった。
またこんな体験もあった。深夜バスのスキー旅行に行ったときのことだ。
休憩時にパーキングで私は寝起きで喉が渇いていたし、ミネラルウォーターでは
物足りなく、少し甘いものが飲みたい気分だったのでポカリスウェットを購入した。
私が「ポカリスパイラル」と呼んでいる状況が起こったのはその後のことだ。
まあ解りやすく言うと「飲めば飲むほど喉が渇く」という現象が発生した
ということ。喉が渇いたからポカリを飲んでいるのに、飲むそばからどんどん
グビグビと行ってしまう。500mlのペットボトルが正に、駆け抜ける様に、
胃に流し込まれた。微妙に暖まったバス内で、次の休憩まで酷い渇きを
食らわされる事になった。その後、ミネラルウォーターを飲むと渇きは綺麗に
収まったが、あの感触は良く憶えている。
と最近、こんな記事が産経新聞に掲載されていた。
産経夕刊 【暮らしと経済】もっと健康 ペットボトル症候群
暑い季節になってきた。運動などで汗をかくと、飲みたくなる清涼飲料水。 しかし、大量の清涼飲料水を飲み続けていると、意識混濁を起こすことのある ペットボトル症候群になる可能性がある。 清涼飲料水の飲み過ぎが原因で、だるさやのどの渇き、多尿など糖尿病と 同じような症状が現れるペットボトル症候群は俗称で、医学的には 清涼飲料水ケトーシスとか、ソフトドリンクケトーシスと呼ばれている。 清涼飲料水に含まれる砂糖などの糖類がペットボトル症候群の原因だ。 清涼飲料水には約10%の糖類が含まれている。500ミリリットルのペットボトルを 飲むと、約50グラムもの糖類を摂取することになる。そして、清涼飲料水の糖分は 吸収されやすい糖分なので、飲むとすぐに血糖値が上昇してしまう。 血糖値が上がると、のどが渇き、また、清涼飲料水を飲むということになる。 そうすると、また、のどが渇き、清涼飲料水を飲む…という悪循環が起こってくる。 この悪循環が継続すると、インスリンが分泌されても、血糖値が下がらない糖尿病と 同じ状態になってしまう。これに気付かずに、清涼飲料水を飲んでいると、 突然、意識が混濁したり、昏睡(こんすい)に陥ったりして救急車で病院に 運ばれるということになる。これが、ペットボトル症候群だ。 清涼飲料水ケトーシスの名付け親でもある久留米大学医学部内分泌代謝内科の 山田研太郎教授によると、大量に飲み始めてから早ければ1週間、平均的には 1、2カ月程度で発症する。10代から30代の肥満男性や糖尿病予備軍の人、 糖尿病になりやすい体質の人によく起こるとしている。また、東大病院などの 調査によると、清涼飲料水ケトーシスで入院した患者は1日平均2リットル 飲んでおり、多い人では5リットルも飲んでいた。 清涼飲料水すべてが原因になるわけではない。清涼飲料水に含まれる糖分が 問題になるので、清涼飲料水を飲むときには、どのくらいの糖分が含まれているかを 調べることが大切だ。また、ダイエット飲料に含まれている人工甘味料の アスパルテームなどは糖類ではないので問題はない。 初期の症状はのどの渇きが中心になるが、少し症状が進むとけだるかったり、 体重が減少したりする。このような症状が現れたら、清涼飲料水を 飲みすぎていないかチェックしてみることも必要だ。 予防をするには、運動などをしてのどが渇いたからといって、一度に糖分の多い 清涼飲料水を飲まないことだ。冷たい麦茶やミネラルウオーターがお勧めだが、 汗などで失われたミネラルを補給するのに糖分の含まれていないイオン飲料も いいかもしれない。 (医療ジャーナリスト 渡辺 勉) |
正に私が遭遇した事例そのままである。私は親の教育方針もあり、
食事時は勿論、普段でも水分補給は専ら水やお茶で行う事が習慣化しているが、
もしそうでなく、水の様にジュースを飲むことが身についていたら、上記の
様に行く所まで知らず知らず行ってしまう感覚は、ポカリの一件のお陰で
容易に理解できた。
と例によって長過ぎる前置きが終わったところで、本題に入る。
現在、私が最も気に入っている清涼飲料がある。その名こそが──タイトルの通り、
SUPER H2Oである。
ハイポトニックとかの詳しい機能、本気スポーツマン仕様の性能は私には実感
できないが、その味付けの芸術的とすらいえる絶妙は日々しみじみと感じ
入っている次第である。
まず蓋を開けて口を近づけると僅かなグレープフルーツ香が漂ってくる。
さっぱりしていて匂いだけで甘ったるくなる凡品とは違った上品なものだ。
そして香を鼻腔に湛えつつ口に流しこむと、不思議な体験をすることが出来る。
匂いで得たグレープフルーツの味がするのに、実際の感覚は水そのものだから。
こういう話を聴いたことがないだろうか?(土用丑の日が近く我ながらタイムリー
だと思ったが) 鰻の蒲焼なら匂いだけでもご飯が食べられる、と言ったような
主旨の話だ。カレーでもいいかもしれない(私は日本人でも稀有な、カレーが
あまり好きではない人間なので自分ではわからないけども)。
嗅覚は経験と結びつくことで、ある程度までの味覚ならば代替する。
鰻の蒲焼にしろカレーにしろ。H2Oもどうやらこれと同じ様なのである。
舌で味わっていると思っているグレープフルーツの味は、実際は直前に嗅いだ
香りと、そこから脳内で醸成された疑似味覚によって形成されたもので、
液体自体にはほとんど甘味という甘味が無いということだ。
見事な発想である。
氷を入れて少し放っておくと本当にほとんど味がしなくなるので、
それも試してみるとより実感できるかもしれない。
アクエリアスもポカリスウェットも基本、甘い。そして合成甘味料系は
健康にはいいかもしれないが、やはり独特の後味が不快である。
最近、イオンウォーターというポカリの亜種が発売されたが、これは甘さ控えめであり
ポカリよりは飲みやすい。しかし、どうも味わった事のないケミカルな風味が
少しひっかかる。H2Oの味付けの上手さを改めて感じる瞬間であった。
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